2013/05/29

遠野物語 remix/柳田國男 原作、京極夏彦 著

 まとまった連休が取れたので親友と二人旅をしてきました。基本的には温泉を愉しみつつ日頃の疲れを癒やす目的でしたが、無計画を常とする筆者と親友は今回も例に洩れず日程ギリギリで行先を決めたのでした。岩手は花巻温泉郷、宮沢賢治先生の愛した温泉地なのだそうです。
 青空文庫で何冊か読みましたが、月並乍ら先生の作品は「風の又三郎」「注文の多い料理店」等、童話チックな作品こそが映えると筆者は思います。特に語り口調の表現はそうした作品と実に調和しており、幻想世界の描写が非常に美しいのです。その世界観はまた牧歌的であるばかりでなく、何処か黄昏にも似た侘しさであったり、木陰に潜む何者かのようなうそ寒さを含んでいます。けれどそれは決して劇的ではなく、静かな湖面がその内側からユラリと波立つような妖しさで。湖底に潜む何者かは決して姿を現さない、その正体が詳らかになることはないのですが、ただそれが先生の作品の魅せる幻想であると……些か抽象的に過ぎますが、筆者は先生の作品をそのように捉えております。
 そんな宮沢先生のお生れは丁度今回の旅先である岩手花巻なのでした、というのは旅から帰った後で知ったわけですが(汗
 しかしそんな事実もまた、成程なあと納得してしまうところがありまして。というのも、岩手といえば妖怪莫迦には外せない遠野郷。柳田國男先生の編纂された「遠野物語」で有名ですが、宮沢先生の作品はかの近代妖怪譚の雰囲気をどことなく彷彿とさせるところがあると筆者は感じるのです。また遠野郷が花巻からは車で大体一時間強でして、決して近いとは言えないかも知れませんが、およそ源流はそうした土地柄にあるのではないかな、と思うわけなのです。

 前置きが長くなりました。しかも今回の紹介は宮沢先生の作品じゃないってのに(汗