2013/12/31

書楼弔堂 破暁/京極夏彦 著

 ここ暫く気力が萎えてしまい読書ができませんでした。何が駄目だったわけでもなく只、気力が湧かないというのは実に困ったものです。とはいえその間にも「それから/夏目漱石 著」を読み返したり「年中行事覚書/柳田國男 著」を読了していましたが、どうにも感想を得るに至りませんで。夏目先生の文は筆者にとり最上で、柳田先生の民俗学的知見は素晴らしいものなのですが、ウーン読んだらお腹いっぱいになって寝ちゃった感じ。それはそれで一つの感想なのかも知れませんが、時と共に風化してしまいます。あまり嬉しいものではありませんね。
 他にも調べ物に長いこと掛かっているものがあったりと理由はあるのですが、さて置いて。これではいかんなァと思い久々に新しいものを読んでみた次第。新シリーズだったこともあり若干敬遠してまだ手に入れてなかったのですが……京極先生の新刊です。

2013/06/02

三四郎/夏目漱石 著

 読みたい本を片端から手に入れるのは良いんですが、読書に要する時間の長さと理解に至る考察の鈍さと興味を保つ精神の弱さには筆者自身辟易する事甚だしく。本を読むという行為は常に楽しくなければ嘘だと思うのですが、儘ならないものです。
 そんな中でも創作小説は良いですね。創作それ自体には罪がありません。嘘も真も隔て無く呑み込まれています。そこにはただ、オモシロイがある。そんなわけで日々の仕事に魂を削られるなか、せめて通勤時などの空白時間、休日外出時の喫茶休憩くらいはと、好きなものを読む日々を過ごしております。

 通しで読んで二巡ですが、折角読了したので今回は夏目漱石先生の「三四郎」をご紹介致します。あまりと言えば有名過ぎる作品故、筆者如きが分不相応とは存じますが。

2013/05/29

遠野物語 remix/柳田國男 原作、京極夏彦 著

 まとまった連休が取れたので親友と二人旅をしてきました。基本的には温泉を愉しみつつ日頃の疲れを癒やす目的でしたが、無計画を常とする筆者と親友は今回も例に洩れず日程ギリギリで行先を決めたのでした。岩手は花巻温泉郷、宮沢賢治先生の愛した温泉地なのだそうです。
 青空文庫で何冊か読みましたが、月並乍ら先生の作品は「風の又三郎」「注文の多い料理店」等、童話チックな作品こそが映えると筆者は思います。特に語り口調の表現はそうした作品と実に調和しており、幻想世界の描写が非常に美しいのです。その世界観はまた牧歌的であるばかりでなく、何処か黄昏にも似た侘しさであったり、木陰に潜む何者かのようなうそ寒さを含んでいます。けれどそれは決して劇的ではなく、静かな湖面がその内側からユラリと波立つような妖しさで。湖底に潜む何者かは決して姿を現さない、その正体が詳らかになることはないのですが、ただそれが先生の作品の魅せる幻想であると……些か抽象的に過ぎますが、筆者は先生の作品をそのように捉えております。
 そんな宮沢先生のお生れは丁度今回の旅先である岩手花巻なのでした、というのは旅から帰った後で知ったわけですが(汗
 しかしそんな事実もまた、成程なあと納得してしまうところがありまして。というのも、岩手といえば妖怪莫迦には外せない遠野郷。柳田國男先生の編纂された「遠野物語」で有名ですが、宮沢先生の作品はかの近代妖怪譚の雰囲気をどことなく彷彿とさせるところがあると筆者は感じるのです。また遠野郷が花巻からは車で大体一時間強でして、決して近いとは言えないかも知れませんが、およそ源流はそうした土地柄にあるのではないかな、と思うわけなのです。

 前置きが長くなりました。しかも今回の紹介は宮沢先生の作品じゃないってのに(汗

2013/04/16

黒死館殺人事件/小栗虫太郎 著

 ここひと月程は私事でイベントが盛り沢山、仕事で業務が盛り沢山……何だかよく判らない波に呑まれて翻弄されたような生活でした。もう少しゆっくりと生活したいものです。
 そんな中ようやっと三大奇書の一書にして法水麟太郎シリーズの第三作目にあたる本書を読んだのですが、長編読むとどうしても間が開いてしまいますね。これは仕方無い。加えて悩ましい事にはやはり小栗先生の文章は読み進め難い……更に今回は衒学も衒学、これ頭からお尻まで完全に腹に落とし込んで読める方って居らっしゃるのでしょうか……少なくとも筆者には無理でした。ミステリなのに何がどうしてこうなったのか解りません。まさにミステリ。

2013/02/17

聖アレキセイ寺院の惨劇/小栗虫太郎 著

 身の回りの事が忙しくなると、何故それ以外の事に熱中したくなってしまうのでしょうね。暇な時は暇を持て余す事に執着するのに。
 さながら試験期間中に掃除をしたくなるような。さながら就業中に調べ物ばかりしたくなるような。そして土日は寝て寝て寝まくるような。
 天邪鬼ですな。すなわち仏教における人間の煩悩ですな。記紀において天若日子や天のさぐめが由来とされますな。和漢三才図会にては建速須佐之男命の胸腹に満ちた猛気から成る天逆毎や、その子にして九天の王たる天魔雄神ですな。まあ何と申しますか、人心の妖怪であります。やる気出したいのにやる気出ない! ふしぎ!

 さて。先月に続き、小栗虫太郎先生の推理小説、法水麟太郎シリーズの第二作目を読了いたしましたので所感などを。
 本当はこの前にひとつ読了したものがあるのですが、何とも感想の書き辛いものでして諦めました。……まあ、うん。古事記の再読だったんですがね。帝紀含むと、読物としての個人的所感はちょっと無理……。旧辞からの編纂箇所は凄く面白いんですけれどもね。何たって神話ですし。

2013/01/20

後光殺人事件/小栗虫太郎 著

 新年明けまして御目出度う御座います。という挨拶は松の内(正月七日)あるいは小正月(十五日)までが相場のようで。
 兎も角今年もどうぞ宜しく御願い申し上げます。

 さて二〇一三年の一発目は、小栗虫太郎先生の推理小説、法水麟太郎シリーズの第一作目で御座います。ご存知の方は解るかと思いますが、昨年末紹介した「ドグラ・マグラ」と同年に刊行された三大奇書の一書「黒死館殺人事件」を読みたいと思ったのが契機で。
 しかしながら、さて開いてみると恰も登場人物が既知であるかのような出だしで記述されており、出し抜けに混乱の嵐ですよ。好みの二次創作小説とかならまだしも、これは流石に一作目から読まねばなるまいと思い立ち、本作を読む事に致しまして。そしたらやっぱりこれといった背景も無く事件発生と推理開始ですよ。まあ何ですね、そういえば近代小説は大概そういうモノだったような気もします。